Temari

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手毬は日本に古くからある玩具の一つです。当初は芯に糸を巻いただけの物でしたが、16世紀末頃より、芯にぜんまい綿などを巻き、弾性の高い球体を作り、それを美しい糸で幾何学模様に巻いて作られるようになりました。大きさ的には直径2、3センチの小さい物から30センチほどの大きい物までありますが、一般的には直径8から16センチ程度の物が多いです。

Temari various sizes

色々なサイズの手毬

手毬の歴史については諸説がありますが、中国から日本へと渡来したのは飛鳥・奈良朝時代だと言われています。最も古い物は「蹴鞠」と呼ばれる足を使った遊びでしたが、やがて手を使って遊ばれるようになりました。江戸時代に入ってからは、手毬の素材が変わって弾む物になると、手毬をつく遊びが盛んになりました。特に、お正月の遊びとして手毬は羽根つきとと共に定番の遊びになっていきました。明治時代に入ると、ゴム毬が輸入されるようになり、おもちゃとして広まっていきましたが、糸で作られた手毬は観賞用として用いられるようになりました。

Temari colourful

観賞用として作られた手毬

手毬は地域文化の象徴として全国に浸透しており、長野県の松本手毬や愛媛県の丹原手毬に代表される50種類ほどあります。手毬を作る際に最初の工程は地巻と言い、籾殻やヘチマの綿、発泡スチロールなどを丸めた芯に糸を巻いていく作業です。次に、地球儀のように北極・南極・赤道などの印を決めていき、作りたい柄に合わせて等分します。綺麗に分割できたら、柄をつける工程に入りますが、かがり縫いのように少しだけ地巻の糸を掬って柄をつけていきます。最後に糸のねじれを調整したり、全体のバランスを見て糸を足したり、飾りの帯や房をつけたりして完成します。

Temari zushi

可愛らしい手毬寿司

手毬は手毬その物だけではなく、日本人の生活の色々な場面で見かけることができますが、鞠柄という伝統柄が施された着物がその1例です。手毬は長い糸で作られることから「良縁が来るように」「末永く円満な家庭が築けるように」という意味が込められているため、嫁ぐ娘にお守りとして手毬を持たせたり手毬柄の着物を嫁入り道具にしたりする習慣が残っている地域もあります。手毬の歴史や形から「どんな困難が起きても何事も丸く収まるように」「丸々と健やかに成長するように」という願いが込められたとても縁起の良い柄だと言えます。

Temari wagashi

手毬をイメージした和菓子

また、手毬からインスピレーションをもらった食べ物もあります。例えば、鞠のように可愛らしくコロコロした見た目の手毬寿司は、お弁当やおもてなしに大活躍するメニューの一つです。新鮮な刺身や具材で簡単に作ることができるため、パーティーなどの場面では重宝されます。手毬麩は細工麩と呼ばれる麩の1種で、小さく丸めた生麩に色をつけた糸状の生麩を巻きつけて作られますが、吸い物、茶碗蒸し、鍋物に用いられる色鮮やかな食材です。他には、手毬をイメージした色とりどりの和菓子もあれば、手毬模様を施したフルーツ飴に代表される京あめ、ひな祭りなどに供えられる手毬の形をしたあられもあります。

Temari lollies

手毬模様を施した京あめ

手毬は単なる伝統的な玩具や飾りのみならず、日本人の生活の隅々にまで浸透している身近な物だと言っても過言ではありません。国際化が進んでいる今日では、手毬が平和や友情の象徴として海外へ贈られることもしばしばあります。手毬は日本の古き良き伝統を引き継ぐのと同時に、世界や次世代をつなげてくれる存在になることを願ってやみません。

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