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日本には温泉が多く、古くから人々に愛されてきました。1948年に制定された温泉法では、温泉とは温度が25℃以上あるもの、或いは、地中から湧き出る水、水蒸気、その他のガスで、定められた規定量以上の化学成分を含むものと定義されています。温泉は昔から、病気や怪我を治療する方法として利用されてきましたが、現在は観光目的の利用が主となっています。
積雪期の白馬鑓温泉
温泉は熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係の非火山性温泉に分けられます。また、温泉に含まれる成分によって10種類の泉質があるとされています。日本で一番多いのは単純温泉で、刺激が少ないのが特徴で、自律神経不安定症や不眠症、軽度高血圧などに効果があると言われています。岐阜県にある下呂温泉はその代表です。単純温泉に次いで多いのは、静岡県の熱海温泉に代表される塩化物泉で、塩分を含んでいる故に、保温効果が高く、冷え性やうつ状態、切り傷などに良いとされています。他には硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉などがあります。
熱海温泉
効果的な入浴方法は、かけ湯をしてから半身浴をし、最後にゆっくりと湯船を出ます。上がり湯は通常、必要ありませんが、硫黄泉や放射能泉など体に染みるような泉質の場合は、上がり湯をしたほうが良いです。また、入浴前後には水分補給を小まめにすることも大切です。温泉には湯気を吸い込むという利用法もありますが、日本人にはあまり馴染みのない方法です。ナトリウムイオンなどの塩分を含んだ湯気は、特に呼吸器への効果が期待できるため、温泉に入る時は意識的に呼吸を深くして湯気を吸い込むようにするのも良いでしょう。
健康に良い温泉
近年、健康についての関心が高まってきているだけあって、種々の病気にかかりにくくするための食生活や運動などのような予防医学的な方法が脚光を浴びるようになりました。心身の健康維持や健康増進のために温泉を活用する動きも出てきました。温泉が体に良い理由は大きく2つあります。1つは体に物理的に働く効果で、体を温める温熱作用の他、水圧・浮力・清浄作用などが含まれます。もう1つは、温泉の成分が皮膚を通して体内に吸収され、体の機能が健康になる化学的効果です。更に、温泉に行くことによって気分がリフレッシュし、総合的生体調整作用と呼ばれる現象が起こります。すなわち、自然治療力が働き、体の機能を正常に導く作用があるということです。
草津温泉
週に1回以上温泉に入っている人は、善玉コレステロールが高く、動脈硬化にかかりにくいという結果が報告されています。また、血管が広がって血流が良くなり、高血圧の予防にも効果的だと言われています。温泉にはこういった病気予防のみならず、美容効果があることも認められています。温泉で肌がスベスベになるという現象は、一部の弱アルカリ性の温泉では、皮膚の表面の皮脂がカルシウムイオンなどの成分と反応して、微量な石けん成分が作られるからです。
炭酸泉がある長湯温泉
日本各地にユニークな温泉が数多く存在し、11の温泉で6種類の泉質が楽しめる栃木県の塩原温泉郷や、日本では珍しい炭酸泉がある大分県の長湯温泉など、一度は行ってみたい温泉がたくさんあります。より多くの人たちに楽しんでもらうために、温泉巡りツアーが企画されることもあります。日本文化が海外にも浸透しつつある昨今では、日本式の入浴も世界中に広まっていくかもしれません。
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