cranes

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Cranes (Normal speed)
Cranes (Paused)

鶴は、ツル目ツル科に分類される鳥の総称です。鶴は世界の広い範囲に分布していますが、その仲間は世界に15種類しかいません。8000メートルもの高さのヒマラヤ山脈の上空を渡るアネハヅルのような渡鳥がいる一方、北海道に生息するタンチョウヅルのように季節を問わず同じ場所で生活する留鳥もいます。

flying crane

空飛ぶ丹頂鶴

日本の国鳥は雉であるものの、日本を象徴する鳥として世界から認識されているのは鶴のほうではないでしょうか。とりわけタンチョウヅルは日本で唯一繁殖することができる鶴で、日本人にとって馴染みの深い存在だと言えます。昔話の「鶴の恩返し」に登場したり、折り鶴の原型になったり、1984年発行の千円札の裏のデザインであったりすることがそれを物語っているでしょう。日本航空の飛行機の垂直尾翼には、タンチョウと日の丸を表す赤い鶴のマークが採用されているのも、鶴の知名度の向上に一役買っているに違いありません。

paper cranes

千羽鶴

「タンチョウ」の和名となる「丹頂」は「赤いてっぺん」を意味し、その頭頂部が赤くなっている見た目に由来しています。アクセントカラーになっているその赤い部分は実は羽毛の色ではなく、皮膚が剥き出しになっているからです。タンチョウは、基本的に全身が白い羽で覆われていますが、目元から喉にかけての部分と首は黒くなっています。また、胴体の後ろ端が黒く見えるのは、翼の一部である長くて黒い風切羽があるからです。細くて華奢な足の黒色や長い嘴の黄褐色など、その絶妙な配色がタンチョウの美しさを際立たせています。

crane money bag

鶴の水引きをした御祝儀袋

日本でのタンチョウの生息エリアは北海道東部のみとなっており、その中で最も有名なのは釧路湿原です。タンチョウの食性は雑食で、昆虫や哺乳類など栄養価の高い肉類が必須となる一方、葉っぱ類や果実も好んで食べます。多くの野生の動物と同じく、タンチョウは春先の3月から5月にかけて繁殖期を迎えます。つがいの相手が決まると、その相手を生涯の伴侶としてとても大切に扱う姿は仲睦まじい限りです。タンチョウは、出産のために湿地帯の中の地面が剥き出しになっている部分に枯れ草などを集めて巣を作ります。

baby crane

鶴の親子

一度の出産で2個の卵を産むのがほとんどですが、2個とも雛になるまで無事に育つ確率は10%程度しかなく、極めて低いです。卵を温めるのはオスとメスが交代で行い、卵は30日間ほどで雛に孵ります。産まれたての雛は、タンチョウの子供とは思えない程、淡い茶色の羽毛で覆われ、足も短いですが、3日を過ぎる頃から家族で巣から離れられるようになります。生後100日を超える頃には、体が親とほぼ変わらない大きさにまで成長し、秋頃には親鳥と一緒に空を飛ぶ練習を始めます。そして、次の春が来ると、いよいよ親離れをし、巣立っていきます。

crane's return

昔話「鶴の恩返し」

タンチョウは、環境破壊や、開発による生息エリアの減少や汚染、そして天敵や乱獲などによって、一時期、絶滅寸前まで追い込まれていました。昭和67年に「特別天然記念物」に指定されて以降、環境省や民間の団体による継続した保護活動が実を結び、その数は現在の1,500羽近くまで増えています。タンチョウが人間と共に長く共存していくには、今後も環境を守る小さな努力を惜しまない姿勢が求められるでしょう。

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