Raccoon

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Raccoon dogs (Normal speed)
Raccoon dogs (Paused)
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「平成狸合戦ぽんぽこ」は、1994年に公開されたスタジオジブリ製作の長編アニメーション映画ですが、そのタイトル通りに、登場する主人公は、昭和40年代に開発が進む多摩ニュータウンの一帯に生息する狸です。他に、昔話の「かちかち山」や童謡の「げんこつ山のたぬきさん」などにも狸が登場するところから、狸は日本人にとって身近な動物であることが窺えます。

kachikachi yama

昔話の「かちかち山」に登場する狸

狸は、哺乳綱食肉目イヌ科タヌキ属に分類されます。元々、日本、朝鮮半島、中国、ロシア東部などに分布していましたが、今はヨーロッパ諸国を含め、より広い範囲で生息しています。狸は全長が50−80センチメートルで、体重が2ー10キロ前後です。体色は普通、灰褐色で、目の周りや足は黒っぽくなっていますが、全身が真っ白な変種の個体もまれに存在します。狸は、河川や湖の周辺にある草原や林で生活することが多く、夜行性です。人間の影響が少ない環境では昼間でも活動します。狸には冬眠の習性がありませんが、秋になると、冬に備えて脂肪を蓄え、体重を50%も増加させる他、毛足の長い冬毛に覆われるようになります。

raccoon dog

草原や林で生活する狸

1月から3月にかけて発情期になり、通常60日前後の妊娠期間を経て、5−7頭の幼獣を産みます。野生の環境下で、狸の寿命は10年前後ですが、ペットとしては最高16年という記録があります。狸は臆病で警戒心が強い性格なので、大きな音や急な動きなどに驚くことがあります。狸の食性は雑食で、鼠などの齧歯類や鳥類、魚類、昆虫、植物などを食べますが、近年の宅地開発の影響で、餌を求めて人里に姿を現すこともあります。ごみ置き場を漁ったり畑の農作物を掘り起こしたりする被害を起こしてしまうため、日本では「有害鳥獣」に指定されています。

Shigaraki

お店の前に置かれた信楽焼の狸

「かちかち山」の狸に代表されるように、鎌倉時代から室町時代の説話に登場する狸には、時に人を殺めることもある恐ろしい化け物として描かれることが多いです。それが江戸時代に入ると、腹が膨れ、腹鼓を打つイメージへと変化していきました。その腹鼓の音を表す「ポン」や「ポンポコ」などの擬音語は、狸を指す俗語として今でも用いられています。現代では「狸おやじ」のように、狸はずる賢い人を指すようになりました。民間伝承では、狸も狐も化けるとされていますが、狐は人間の女性に化けることが多いのに対し、狸は物や建物、妖怪、他の動物等に化けることもあります。

Shigaraki Station

信楽焼の狸が並んだしがらき駅

店舗や住宅の前で狸の置物がしばしば見かけられますが、その多くは滋賀県の信楽焼で、昔から福を呼ぶ縁起物として新築祝いや開店祝いなどの進物に選ばれてきました。狸の信楽焼は立っているものからごろ寝をしているものまで姿勢が様々で、サイズ、デザイン、色も豊富です。産地では11月8日が「信楽たぬきの日」とされており、信楽の駅や東京メトロ有楽町線有楽町駅の「ぽん太の広場」のように、狸の置物が集まっている場所もあります。また、天ぷらの揚げカスを種に入れたうどんや蕎麦は「たぬきうどん」「たぬきそば」と言い、狸という言葉がいかに日本人の生活に浸透しているかが分かります。

Tanuki udon

天かすが入ったたぬきうどん

定番ペットの犬や猫に比べるとまだ珍しいかもしれませんが、時代と共に変化してきたペットの選択肢の中で、最近、狸も注目されるようになりました。もともとペットとして飼われる動物ではないので、迎える側として色々と注意する必要があるようですが、いずれにしても、狸はこれからも末長く人間と共存していければと願います。

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