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日本では、お弁当やおにぎりによく使用される食品の一つに梅干しがあります。梅干しは、古くから作られている梅の実の塩漬けで、非常に酸味が強いのが特徴です。梅干しという言葉が初めて登場したのは平安時代ですが、現在のような梅干しの作り方が確立したのは江戸時代だとされています。
黄色く熟した梅
梅は古くから親しまれてきた果物ですが、未熟な青梅にはアミグダリンという中毒症状を引き起こす原因となる物質が含まれているため、生のまま食べることができません。必ず加熱またはアルコールや塩漬けにし、食べられる状態にする必要があります。伝統的な梅干しの製造には、6月頃に収穫する黄色く熟した梅を使用します。塩分が梅の重量の20%前後となるように、梅を一ヶ月以上塩漬けにします。梅干しを鮮やかな赤色にするためには、10−20%ほどの赤しそを加えます。
梅干し作り
梅雨が明けた後に、3日間ほど晴れの続く日を見計らって土用干しを行います。土用干しとは、少し間隔を空けて大きなざるの上に梅を並べ、日中は日当たりの良いところで干し、夜は室内に取り込む作業を3日連続ですることです。そうすることによって、余分な水分が蒸発して、保存性を高めるのみならず、果肉もねっとりとした食感に変わります。土用干しした梅干しはすぐにでも食べられますが、3ヶ月後ぐらいから塩が馴染んで、より美味しくなってきます。また、密封容器に入れ、日の当たらない常温で保存すれば、数年にわたり長期保存が可能です。
土用干し
梅干しには、体に嬉しい様々な効能があります。梅には体に必要なミネラルやクエン酸などの有機酸が豊富に含まれているため、疲労回復だけでなく、腰痛や肩こりなどの緩和、美肌や老化防止などにも役立ちます。梅の酸味成分であるクエン酸は、唾液の分泌を促し、食欲を増進させるばかりでなく、消化吸収を助ける効果があります。梅干しは、食事バランスを整える代表的なアルカリ性食品でもあります。現代生活では、酸性食品を多く摂りがちなので、血行不良の悪循環を引き起こし、免疫力の低下に加え、病気にかかりやすくなります。
梅干しが入った日の丸弁当
アルカリ性食品の梅干しは酸性を中和する効果がある故、血液やリンパの流れを良くし、抵抗力を上げることができます。梅はカルシウムや鉄の吸収を促す効能がある上、肝機能を強化し、血液をサラサラにしてくれます。また、梅には殺菌作用があり、食中毒予防やがん予防も期待できるほど優秀な食品です。昔からおにぎりやお弁当に梅干しを入れるのは、クエン酸の微生物の繁殖を抑える効果を狙ったものです。梅を使った主な加工品には、梅干しの他に、梅酒、梅ジュース、梅ジャムなどがあります。
梅酒
伝統的な梅干しは塩分が多く、酸味が強烈なため、若い世代の梅干し離れに歯止めがかかりません。最近、食べやすいように減塩を施したものや、砂糖類、香辛料などを加えた調味梅干しがより一般的になってきました。しかし、本物の味を求め、健康や美容のために食べるのであれば、やはり原料表示にまで気を配り、伝統的な梅干しを選びたいところです。
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