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だらりの帯をつけ、お座敷かごを抱え、おこぼを履いた姿でお馴染みの京都花街の舞妓は、芸妓になるために修行中の少女のことです。昔は10代前半の舞妓も珍しくなかったのですが、現在は中学校卒業後からに限られています。舞妓たちは、宴会や遊興の場でお酒を注ぎ、会話をして、舞を踊るおもてなしのプロです。失われがちな京文化を日々継承するという重大な役割を担っていると言っても過言ではありません。
おこぼを履いた舞妓
舞妓になるには、まず仕込みとして、置屋と呼ばれる場所におよそ1年間住み込み、花街で生きるための躾教育を受ける必要があります。仕込みは、置屋のお母さん、先輩のお姉さん芸妓舞妓の手伝い、掃除、舞踊の稽古などをこなしながら、花街のしきたりや礼儀作法を身につけていきます。その中でも京言葉は、舞踊と並ぶ舞妓の特に重要なポイントで、お母さんやお姉さんたちから厳しく指導されます。たいてい10ヶ月経過したところで、置屋のお母さんが日々の修業ぶりなどから舞妓になるための適性を総合的に判断し、それをパスした仕込みは舞妓の見習いになります。
雨の日の舞妓
その期間は約1ヶ月間で、姉妹の盃を交わしたお姉さん芸妓についてお座敷へ行き、現場で仕事を覚えていきます。舞妓としてデビューするのは店出しと言い、3日間、黒紋付きを着てお姉さん芸妓についてお座敷を回ります。ここからが花街での本当の修業の始まりで、舞踊に加えて三味線、囃子、唄に茶道も加わり、芸事の稽古が更に厳しくなり、芸とおもてなしのプロを目指していきます。舞妓は給与が支給されませんが、衣食住の全てと稽古の費用を置屋が負担します。舞妓が独り立ちするまで、莫大な資金が必要とされており、舞妓はそれを年季が明けるまで5、6年かけて置屋に返済します。
お座敷かごを抱えた舞妓
舞妓の1日のスケジュールは、8時頃の起床から始まります。朝食の後、10時頃から女紅場や歌舞練場に行き、舞踊や三味線などの稽古を行います。昼食の後は、引き続き稽古をすることもあれば、稽古の合間を縫って、お世話になっているお茶屋や芸妓のお姉さんのところへ挨拶回りをすることもあります。午後3時頃から化粧や着物の着付けなどをして、夜のお座敷に出るための準備をします。6時頃からお座敷へ向かい、舞を披露したりゲームをしたりして宴席を盛り上げます。
舞妓が写っている広告
1つのお座敷は約2時間ですが、深夜まで及ぶこともしばしばあるため、置屋に戻るのは夜中の1時を回ってしまうこともよくあります。そこから化粧落としや着替えをするので、就寝が午前2時になることも珍しくなく、かなりハードなスケジュールと言えるでしょう。芸や茶道、行儀作法を5、6年かけて修業し、お座敷での振る舞いも適正と認められた舞妓は芸妓になります。これは衿替と言い、芸妓になればもう置屋に頼れず、自分の芸と才能で自前にならなければなりません。芸妓には、立方と地方という二つの役割があり、舞踊を専門に担当する芸妓を立方、楽器の演奏や唄を担当する芸妓を地方と言います。芸妓には定年がなく、生涯芸妓を続けることができます。
ステージの上の舞妓
京都には、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があり、これを総称して五花街と呼びます。お茶屋のお座敷で舞妓と遊ぶことをお座敷遊びと言い、その際にお花代、飲食代、宴会ご祝儀お立替の3つの料金がかかります。その相場は、合計1人5〜9万円です。舞妓と楽しいひと時を過ごしてみるのは、京文化を理解する上で、貴重な体験となるのではないでしょうか。
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