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Kimono (Normal speed)
Kimono (Paused)
本記事の録音に使用したマイク|Microphone used for recording
HyperX QuadCast

日本人が日常的に着ているのはほとんど洋服であるにも関わらず、今もなお、着物は日本人に愛され続けています。特別な儀式やパーティーなどの際に、または特定の職業の人たちが着物を着用することがあります。着物は四季のある日本の気候に適し、日本人の顔立ちや体型にもよく映るように進化し続けてきました。

振袖を着て成人式に向かう女性たち
Girls wearing furisode at a Coming-of-age Ceremony

振袖を着て成人式に向かう女性たち

着物は平安時代まで遡る日本の伝統的な衣装であり、様々な種類があります。種類によって着用シーンが決まっているので、美しく着こなすためには、その場に合った着物を選ぶ必要があります。結婚式や披露宴などで着るフォーマルな着物には黒留袖、色留袖、振袖などがあります。裾だけに模様が入っている黒地の留袖は、背・両袖・両胸の五箇所に紋が入っており、最も格が高い既婚女性の第一礼装とされています。

既婚女性の第一礼装である黒留袖
black tomesode is the most formal kimono for married female

既婚女性の第一礼装である黒留袖

色留袖は裾だけに模様が入る色地の着物で、五つ、三つ、一つと紋の数によってフォーマル度が変わりますが、既婚と未婚に関わらず着用できます。振袖は袖丈が長いのが特徴で、全身に華やかな模様が施されており、未婚女性の第一礼装に位置する着物です。他には、肩・胸・袖・裾に模様が入った訪問着という略礼装があり、入学式や卒業式、フォーマルなパーティーや観劇など幅広い場面に着ていけます。

袴を身にまとった卒業生たち
graduates wearing hakama

袴を身にまとった卒業生たち

三月の卒業シーズンの風物詩になっているのが卒業袴を身にまとった学生の姿です。夏のお祭りや花火大会でよく見かけるのは、気取らない場所でのみ着ることができる浴衣です。着物だけではなく、帯にも種類や格、結び方がいろいろあり、場面に合わせて適切に選ぶ必要があります。男性の着物の第一礼装は黒紋付に袴と羽織です。着物と羽織にそれぞれ五つ紋が付き、フォーマルな場で着用します。

男性の着物の第一礼装である黒紋付
black montsuki is the most formal kimono for male

男性の着物の第一礼装である黒紋付

着物の生地には絹、木綿、デニムなどと色々な素材があります。格の高い着物は主に絹が使用され、生地の染め方は織り上がった白い生地に後から色や柄を染める「後染め」が用いられます。カジュアルな着物は糸に色付けしてから織り上げる「先染め」が多いようです。着物の模様は全く同じものがないと思えるほど多く、例えば、長寿を願う鶴、鳳凰、松竹梅などの柄付けは縁起が良く、お祝いの席で好まれます。他にも季節が反映された植物や花の柄、扇や短冊などを使った古典的な柄など多種多様です。

浴衣姿の男女
man and woman wearing yukata

浴衣姿の男女

近年、グローバル化が進むにつれて、洋風の柄を取り入れた着物や海外のデザイナーとのコラボレーションによるデザインも増えているようです。今、世界中で着物の認知度が高まりつつあり、日本関係の催し事で着物を着る外国人を見かけることも珍しくありません。しかし、着物についての知識が必ずしも浸透しているわけではなく、着物の左衿が必ず上に来るように着付けをしなければならないという決まりが分からず、その逆の死装束を身につけてしまった失敗談を持つ人もいるようです。着物の世界は大変奥が深く、せっかくの美しい着物が台無しにならないように気をつけたいものです。

帯にもさまざまな種類がある

帯にもさまざまな種類がある

着物は今後、更にどんな進化を遂げるか期待するのと同時に、日本の伝統も保ち続けてくれることを願って止みません。

 
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