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日本人に馴染みの深い食べ物の一つに餅があります。とりわけお正月になると、餅搗きを楽しむ家庭もいれば、餅を使用した多彩な料理に舌鼓を打つ人も多いのではないでしょうか。現代のお年玉は新年のお祝いとして大人から子供に渡すお金のことですが、実は昔のお年玉は餅でした。このように、餅はお正月と切っても切れない関係にあると言えるでしょう。
杵と臼で蒸した餅米を搗く
日本には古くから稲作信仰があり、稲系の穀物はお正月など晴れの日の行事には欠かせない縁起物の食材です。それゆえ、もち米を用いて作る餅は加工しやすいことと相まって、多様なつき餅の食文化を形成しています。つき餅を作ることを餅搗きと言い、お正月、節句、祝い事などの際に大人数が集まって作ることが多いです。作り方はまず、もち米を研いでから十分に水に浸しておいた後に、水気を切り、蒸し布で包んで蒸します。次に、蒸したもち米を杵と臼で米粒の形がなくなるまで搗きます。搗いているうちに、粘りが増すごとに杵と餅がくっつくので手水をする必要があります。手水とは、あらかじめ桶に入れておいた水で手を濡らし、餅の表面を濡れた手で叩くことです。最後に、搗いた餅を角餅、或いは丸餅に成形して保存します。
米粒の形がなくなるまで搗く
搗き立ての餅は、きな粉や醤油などで味付けして食べます。保存した餅は固まるので、焼いたり煮たり揚げたりして、再び加熱してから食べます。現在では、機械化された工場で餅が製造され、家庭用の餅つき機も普及しつつあるようになり、一般家庭で伝統的な餅搗き風景を見かけることが少なくなりました。しかし、自治会や子供会の行事としての餅搗きは今でも人気が高く、歳末の風物詩となっています。
正月飾りの一つである鏡餅
お正月に欠かせない飾りの一つに鏡餅があります。鏡餅は他の正月飾りと一緒に12月28日に飾るのが一般的です。鏡餅は歳神様がいる松の内の期間中は、神様の魂が宿るとされてきました。その理由は、鏡は魂が宿るという古い信仰から、丸い餅を鏡に見立てるようになったからです。鏡餅は大小二つの丸い餅が重なる様子から、円満に新たな一年を重ねるという意味があります。餅の上に乗る橙は、子孫が代々映えるようにという願いが込められています。両側に垂れ下がる裏白というシダの葉は長寿を願うものです。
お汁粉
鏡餅は年末から床の間やリビングの高いところにお供えし、鏡開きの1月11日に下ろして食べます。歳神様の魂が宿ったお餅をいただくことで、神様に運気や力を分け与えてもらうとともに、一年の無病息災を願う意味があります。切腹を連想させるため、餅を包丁で切るのは禁忌とされており、手や木槌などで割るのが一般的です。しかし、鏡を割るというのも縁起が悪いので、末広がりを意味する「開く」という言葉が用いられ、「鏡開き」という言い方の由来となったそうです。お正月によく食べる餅料理にはお汁粉とお雑煮があります。お汁粉は小豆を煮た汁の中に餅を入れたもので、お雑煮は餅、豆腐類、芋類、ほうれん草、にんじんなどを具とし、醤油や味噌などで味付けしたスープ料理です。
お雑煮
餅は年中、スーパーの棚に並ぶようになっているほど人気なのですが、粘着力が強く、噛み切りにくい特性により、飲み込む力の低下した高齢者などにとって窒息リスクのある極めて危険性が高い食べ物とも言えます。不慮な事故を避けるためには、油断するべからず、餅を少量に分けた上で、水分を含みながらよく咀嚼するように気をつけたいところです。
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